仲介売却と直接買取の違い~メリットとデメリットを押さえよう~




不動産の売却の際に不動産業者にお願いするのは通常売却の「仲介」です。

市場のどこかにいる買い手候補を探して、売り主とのマッチングをお願いするわけですね。

できればブランド物や家電を売る時のように業者が直接買い取ってくれれば手間も時間もかからないのに、と思うかもしれません。

実際そのような取引形態もあり、「直接買取」と呼ばれています。

当記事では、不動産の直接買取について仕組みやメリット・デメリットなどを解説していきます。

 

■直接買取の仕組み

金券やブランド物の買い取りをイメージすると、売りたいものをショップに持ち込んでその場で換金してもらい、すぐに現金を手にすることができます。

不動産はショップに持ち込むというわけにはいきませんが、業者に査定をしてもらって買い取ってもらうことは可能です。

ただ直接買取をした後で利活用を行い利益を出さなければならないので、全ての不動産業者が直接買取に応じてくれるとは限りません。

仲介しかしていない業者、個別ケースで直接買取にも応じてくれる業者、積極的に買取に応じてくれる業者など様々です。

一般に、直接買取で買い取った不動産がどのような利用のされ方をするのか見てみます。

 

①再販売

買い取った不動産を補修等を経てから他の不動産業者や市場の買い手に再販売します。

いわゆる転売というもので、買い取った金額よりも高く売ることで利ザヤを得ることができます。

 

②収益事業に利用する

区分マンションや一棟もののアパート、マンションあるいは戸建てなども買い取った後にリフォームを施して見栄えを良くし、利用者に貸し出してインカムゲインの収益を狙います。

また最近はリノベーションもよく行われています。

例えば古くなったホテルなどにリノベーションを施して、マンションや老人施設、フィットネス施設など目的を異にする不動産に新しく生まれ変わらせて利活用を行うこともあります。

 

③開発事情

個別の建物、個別の土地レベルではなく、まとまったエリアの物件を買い取って更地にし、大型のショッピング施設を建てるなどの開発事業に用いられることもあります。

上記のうち①は比較的小規模の不動産業者でも可能ですが、需要を持つ買い取り先を顧客に持っていなければなりません。

②は賃貸経営になるので、こちら方面が得意な業者であれば買い取りに応じてくれます。

ただし買い取り後に一定のリフォームや補修が必要になるので、費用対効果を考えて旨みがないと判断される物件は買い取りを拒否されることもあります。

また③は開発力と資金力のある大手の業者でなければ難しいので、日本国内のほとんどを占める中小零細の業者では難しいのが実情です。

以上が業者目線で見た直接買取の仕組みですが、売り主目線でのメリット・デメリットについてはどうでしょうか。

次の項から見て行きます。

 

■直接買取のメリット

売り主から見ると直接買取は以下のようなメリットがあります。

 

①現金化に時間がかからない

仲介による売却では以下のように現金化までに長い道のりが必要で時間がかかります。

査定に出してから仲介不動産業者を選定し仲介契約を締結→広告宣伝を開始→見込み客からの反応を待つ→反応があったお客さんに内見案内→気に入ってくれた見込み客と条件交渉→交渉妥結で成約

よっぽど好条件な物件を除いて、上記には短くても3か月ほどの余裕を見なければなりませんし、場合によっては買い手が付くまで1年以上かかることもあります。

直接買取は業者に見積もりを依頼して気に入ってくれればすぐに契約締結に進めるので、短期間での売却が可能です。

細かい条件交渉などが無ければひと月以内に現金を手にすることもできるので、急ぎの資金需要があるケースでは積極的に検討されることもあります。

 

②手数料が要らない

仲介による売却では買い手を見つけて売買取引を成功させた見返りとして、不動産業者に手数料を支払わなくてはなりません。

ケースにもよりますが成約価格が大きくなるほどに手数料額も大きくなるので、数十万円~数百万円というかなり大きな出費になります。

直接買取ではこの手数料報酬の支払いは必要ありません。

 

③難のある物件でも売りやすい

 

買い手を探す仲介による売却では一般市場での需要が全てですから、市場需要の無い物件は買い手が付きにくく売れにくくなります。

古くなって傷みが進んだ物件や交通の便の悪いところに存する物件などは需要が少ないので売れにくくなります。

また法律上再建築が不可能な物件などは特に売りにくいので、業者が頑張っても買い手が付かず売れ残り物件となってしまうことも多いです。

いわゆる事故物件のようなわけあり物件も市場では敬遠されてしまうので、普通の売り方ではなかなか売れません。

直接買取では古くなった物件でもリフォームやリノベーションを施して再販したり利活用するので多少の傷みや築年数の古さはカバーできますし、再建築不可物件も補修や小規模のリフォームを繰り返して長年使い続けるように工夫できます。

特に売れにくい事故物件でも、経験とノウハウを駆使すれば利益を出せる物件として利活用は可能です。

一般的に売れにくいとされる難のある物件でも売ることができるので、まずは市場に売りに出して、やっぱり買い手が付かないなと判断したら直接買取してもらうなどの工夫もできます。

 

④瑕疵担保責任の免除が可能

中古不動産の取引では売り主も買い主も気づきにくい隠れた瑕疵(欠陥)が責任問題になることがあります。

原則ではこの瑕疵担保責任については売り主が責任を負うことになっており、物件引き渡し後に当該瑕疵が問題になった時にはその修理代を負担しなければなりません。

直接買取ではプロの業者が詳しく物件を精査してから買い取るので、瑕疵担保責任を免除してもらうことも可能です。

 

⑤住みながらでも売りやすい

仲介による売却では次々と現れる購入希望者に内見案内をしなければならないので、まだ自分や家族が住んでいるケースではそのたびに用意をしなければなりません。

また生活空間を他人に見られるのでストレスも感じますが、直接買取では買取業者に一度見せるだけですから手間もかかりませんし、心理的な抵抗はほとんどありません。

 

■直接買取のデメリット

メリットも多い直接買取ですが、以下のようなデメリットもあります。

 

①市場価格より安くなる

直接買取では市場価格よりも二割~三割程度安く買われてしまいます。

できるだけ高く売りたいのが常でしょうが、高額売却を優先するならば直接買取は適しません。

市場価格よりも安くなってしまうのは、不動産業者の利益を出すカラクリにあります。

再販売では利ザヤを稼ぐのが目的ですから、できるだけ安く仕入れる必要がありますし、利活用や開発目的の場合でも補修やリフォーム、リノベーション、家屋の解体など費用がかかります。

その分やはり仕入れ値を下げないと利益が出ないので、買い取り価格に反映されてしまうのです。

 

②買取の可否や値段は業者に左右される

上で見たように、不動産業者にも得意な事業とそうでないものがあるので、直接買取して欲しくてもしてもらえない業者もいます。

また不動産の種類によっても得手不得手が出てくるので、例えばマンションは買い取ってくれるけれども戸建てはダメという業者もいるでしょう。

買い取りはするけれども利活用のノウハウが無いので市場の半額程度など大幅な減額が必要になることもあるかもしれません。

全体として、直接買取の良さは現金化までのスピードにあり、価格面では仲介に劣ることになるので、この特徴を押さえた上での検討が必要です。

 

■まとめ

 

この回では不動産の売却方法について、仲介と直接買取の違いやメリット・デメリットなどを見てきました。

直接買取は仲介と比べて時間と手間がかからない点で有利ですが、価格面で妥協が必要になります。

不動産の種類によって業者側の得手不得手も関係してくるので、必ず買い取りしてもらえるとも限りません。

急ぎの売却が必要なケースでも、これらの特徴を踏まえた上での検討を要します。




ABOUTこの記事をかいた人

京都府出身。大学卒業後、新卒で上場IT商社に入社。 法人向けのITコンサルタントとして業務の効率化、WEBを活用した集客・営業コンサルティングを実施。 その後国内コンサルティングファームにて不動産業専門のコンサルティングに従事。役職はチームリーダー、全国のクライアントの経営顧問をしている。 専門分野は仕事上、不動産・新築住宅・WEB・IT分野などなど。 読書・資格取得・ITツールやアプリ導入などが趣味