【住宅営業の教科書】住宅ローンに関する基礎知識




住宅・不動産に関わる営業さんなど、業務従事者であれば、ローンに関する知識を持っておく必要があります。

住宅の購入には住宅ローンを検討される方が大多数であり、知識が無いと契約はまず取れないでしょう。

 

今回は、営業さんが頭に入れておいてほしい、住宅ローンに関する基礎知識を解説します。

 

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2019年7月21日

 

住宅ローン知識の活用

戸建、マンション問わず、マイホームを取得する方の90%以上の方が住宅ローンを利用しています。

自社に来店されるお客様も、その多くが住宅ローンを利用しているのではないでしょうか。

住宅ローンの知識はお客様の要望に応えるためだけでなく、お客様が最も心配している「お金」に関する質問に対応することで信頼感を持っていただくことができます。

また、住宅ローンの借り入れ可能額を算出することで資金計画が完成し、クロージングにつながりますので、しっかり知識をつけていきましょう。

 

家づくりのおけるキーワード

3大キーワードは、

1.土地
2.建物
3.お金(資金)

この3つの中で最も一般消費者の方が不安で興味があるキーワードは「お金(資金)」で、ここの不安を解消することが必要となります。

住宅ローンは借り方次第で数百万円の差が出るだけでなく、将来的に金利が変動した際に返済していけるかどうかを決める重要な要素であり、ここの相談能力の高さを伸ばしていくことが求められています。

 

事前審査(仮審査)と本審査

 

①事前審査(仮審査)

事前審査とは住宅ローンの本審査をする前に、住宅ローンが通る可能性があるかどうかを銀行に判断してもらうことです。

事前審査は本審査と比較して必要書類も少なく、事前審査で住宅ローンが通りそうだという結論を得てから、土地の売買契約や住宅のプランの詳細を詰めていく形となります。

基本的には事前審査に通った方は本審査も通る確立が高いが、絶対通るのは決して言わないですし、言えない。ということを覚えておきましょう。

「事前審査に通っているので住宅ローンは大丈夫です」と断言することは、後々トラブルになる可能性があるので禁句です。

 

②本審査

実際に住宅ローンを借り入れるための申請を行い、承認を得るための手続きです。

本審査を経て住宅ローン借入に進みます。

住宅金融支援機構のフラット35には事前審査(仮審査)の制度がないため、いきなり本審査をすることとなりますが、SBIモーゲージなどのフラット35はSBIモーゲージ独自の事前審査で対応している場合があります。

 

審査段階 必要書類
事前審査 【建物】

・仮プラン  ・概算見積

【土地】

・土地情報(価格と場所がわかるもの)  ・登記簿謄本

※自己所有の場合は登記簿謄本のみ

本審査 【建物】

・建築請負契約書  ・平面図  ・立面図  ・配置図

【土地】

・売買契約書  ・登記簿謄本

【本人の属性に関するもの】

・本人確認書類  ・所得証明書(源泉徴収証)  ・団信加入申込書

・その他

 

金利タイプの特徴

 

①変動金利

6ヶ月毎に金利が変動するタイプです。

この金利タイプ特有の特殊なルールが2つあります。

 

特殊なルールとは、「5年ルール」と「125%ルール」

「5年ルール」は、金利がどれだけ変動しても毎月の返済額が5年に一度しか見直しされないというルールです。

「125%ルール」はその5年に一度の毎月返済額の見直しの際にそれまでの返済金額の125%までしか返済額が増えないというものです。

どちらのルールも返済額がコロコロ変わることで、家計への負担が生じないように配慮して考えられたものであるが、この2つのルールの結果、今後金利が急激に上昇した場合には返済しても元金が減らない状況に陥るリスクも生じてしまいます。

変動金利からはいつでも②の期間固定金利に変更できる銀行が多いです。

 

②期間固定金利(1年、2年、3年、5年、10年など)

銀行によって固定期間には様々なパターンがありますが、概ね10年までの期間を金利固定できる商品となっています。

固定期間を終わると金利タイプを選択し直す銀行が多いです。

現状では10年固定で1%前後の金利を打ち出している銀行の数が増えており、変動金利と同じくらい人気があります。

 

③全期間固定金利(最長35年)

メガバンクや一部の地方銀行が期間限定で商品化することもあるが、基本的には住宅金融支援機構の「フラット35」のことを指します。
住宅ローンの借入期間中の金利が確定するので返済計画を立てやすい商品です。

 

④その他

銀行によっては50年ローンや、預金残高に相当するローン残高に金利がかからないといった様々な商品が出ています。
基本は①~③の商品を抑えておけば、後は自店エリア内の銀行の特別なパターンを抑えるだけで住宅ローンは網羅できます。

ただ、その他の要素も頭に入れておかないと、柔軟に対応が出来ず信頼を失ってしまいかねません。

 

元利均等返済と元金均等返済

 

住宅ローンの返済方法は「元利均等返済」が基本となっています。

どこの銀行でもフラット35でも特別何も言わなければ「元利均等返済」が前提になっています。

これは元金均等返済で計算すると借入可能額が大きく低くなってしまうこともありますが、そもそも元金均等返済に対応していない銀行もあります。

営業さんであれば、それぞれの返済方法の特徴と何故「元利金等返済」が前提になっているかを抑えて説明できるようになっておく必要があります。

お客様の中には住宅ローンの本などを読み、「元金均等返済」の方が総返済額が少なくなると聞いたんですが・・・」と言ってくる場合があるので、プロとしての対応が出来るようにしましょう。

 

①元利均等返済

借入期間を通じて元金と利息を合わせた毎月の返済額が固定期間中変化しない返済方法です。

借入当初は元金の減りが遅くなるが、毎月の返済額が平準化されるので一般家庭にとって返済し易い返済方法として住宅ローンの基準となっています。

 

②元金均等返済

35年(420ヶ月)で住宅ローンの借入をした場合、420ヶ月間元金の返済額が同じとなる返済方法です。

つまり、借入額を420ヶ月で割った1ヶ月分が毎月の返済元金となります。

利息はその元金に乗る形となり、借入当初の返済額が大きくなります。

この借入当初の返済額が大きくなることによって、返済負担比率が膨らむため、借入可能額が減ることになります。

 

住宅ローン金利の推移

 

住宅ローン金利の今後の予測をすることはNGです。

住宅ローン金利がこれからどうなるか誰にもわからないからです。

 

ただ、「わかりません」と伝えてしまうと、住宅営業の介在価値も無いですし、お客様の信頼を獲得することもできません。

営業としてできることは、過去の動向の説明と現状をお客様に理解していただいた上で意思決定できる情報を提供することです。

その為に過去の金利推移を把握しておくことは非常に重要で、毎月発表される最新の動向もチェックしましょう。

 

優遇金利

 

1995年以降住宅ローンの基準金利はほぼ横ばいで推移しています。

ただ住宅ローンの借入金利はここ数年下がり続けているのです。

これは基準金利は変化していないが、そこから優遇する幅を広げてきた結果となっています。

この優遇金利には落とし穴がいくつかあって、以下の点に注意しながら、金利を比較することが大切となります。

 

1.当初固定期間のみ優遇幅が大きいパターン

最初は極端に金利が低く感じられるがトータルでは金利優遇幅が狭くなり、あまりメリットはありません。

 

2.優遇廃止条件が厳しいパターン

ちょっとした手違いで住宅ローンの返済日に返済額が銀行口座に足らずに延滞となってしまった場合に、その1回で優遇が全く無くなる住宅ローンもあります。

 

続々登場する住宅ローン

 

住宅ローンは各銀行が商品開発を競っているため、様々なパターンの商品が生まれています。

いくつか以下に例を挙げておきます。

 

1.預金残高に相当する額の住宅ローン残高に対して金利がかからない住宅ローン。

2.50年間の期間組むことができる住宅ローン。

3.土地が定期借地権でも組むことができる住宅ローン。

など。

 

最新情報もキャッチしておきましょう。

 

返済負担比率

 

住宅ローンの年間返済額が額面年収の何%に相当するのかを示した比率です。

例えば、年収500万円の方が住宅ローンを年間150万円返済する場合、150万円÷500万円=30.0%となります。

この比率は住宅ローンがいくらまで借りることができるのか目安を計算することができます。

銀行によっては「返済負担比率○%までが基準内です」と明示しているところもあります。

住宅金融支援機構のフラット35ではこの返済負担比率が公表されており、年収400万円未満は30%まで、年収400万円以上は35%までが基準内となっています。

当然、基準内だからといって住宅ローンが確実に借りれるわけではないですが、この比率を超えた場合に住宅ローン審査はかなり厳しくなります。

また基準を超えた住宅ローンは一切受け付けない銀行もあります。

業界内では「返済負担比率」を「へんぴ」と略して呼ぶことがあるので、覚えておきましょう。

 

~住宅金融支援機構の返済負担比率例~

年収 400万円未満 400万円以上
基準 30%以下 35%以下

 

保証会社

 

銀行で住宅ローンを借り入れした場合に、保証会社の保証料が必要となることが多いです。

この保証会社は、銀行の子会社であることが多く、例えば三井住友銀行で住宅ローンを借りる場合はSMBC信用保証が保証会社となります。

保証会社は住宅ローンを借り入れる際に、債務者の連帯保証人となる存在です。

そのため、連帯保証人になってくれる保証会社に対して保証料の支払いが必要となります。

また銀行は住宅ローン債務者が返済できなくなった場合に保証会社に住宅ローン債権(取り立てる権利)を譲るため、そもそも住宅ローンを借り入れて購入した住宅に付く抵当権(担保)設定は保証会社が行います。

~保証料の目安(100万円あたり) ※三井住友銀行の場合~

借入期間 15 25 35
元利均等返済 11,982円~47,918円 17,254円~69,018円 20,620円~82,437円
元金均等返済 10,195円~40,793円 13,908円~55,662円 16,329円~65,370円

 

~住宅ローン借入時の関係図~

 

フラット35

 

住宅ローンの商品は銀行によって様々ありますが、住宅金融支援機構(元住宅金融公庫)が取り扱っている「フラット35」が35年間固定金利の住宅ローンとなっており、ほぼ全て金融機関が窓口となっています。

気をつけたいのは、フラット35はどこの金融機関を窓口として借入しても、住宅金融支援機構のフラット35ということは同じであるが、その借入金利や借入手数料が金融機関毎に異なっています。

フラット35の取り扱いに積極的な金融機関ほど金利が低い傾向にあり、金利の一覧は「フラット35」の特設サイトで見ることができます。

フラット35特設サイト

 

フラット35S

 

「フラット35」の技術基準に加えて、「フラット35S」の技術基準に適合することで金利の優遇が受けることができます。

フラット35Sに適合する住宅であるかどうかは、返済負担比率を計算する上でも、将来のキャッシュフローを計算する上でも重要な要素となります。

そのため、提携工務店・ハウスメーカーの一覧を作成する場合は、フラット35に適合している住宅を建築できるかどうかを事前に確認しておく必要があります。

フラット35Sに適合した住宅とは、以下のいずれ1つ以上の基準を満たす住宅であることです。

①省エネルギー性

②耐久性・可変性

③耐震性

④バリアフリー性

上記項目の技術的な部分はわからなくても、建築会社がフラット35Sに対応しているかどうかを把握することで対応できます。

~フラット35Sの金利優遇イメージ~

 

【フラット35】のお借入金利を当初10年間 年0.3%引き下げます。

金利プランの名称 金利下げ幅
【フラット35】 S(金利Aプラン) 当初10年間 年▲0.3%

 

団体信用生命保険

 

住宅ローンを借入した時に銀行の住宅ローンであれば「団体信用生命保険」に強制加入となります。

また「団体信用生命保険」の保険料は住宅ローン金利に含まれているため、別途支払いは必要ありません。

フラット35は団体信用生命保険が任意加入となっており、金利とは別払いになっています。

そのため、フラット35で住宅ローンを借入した場合、毎月の返済以外に団体信用生命保険の保険料の支払い負担が発生します。

 

団体信用生命保険の加入審査

 

団体信用生命保険は一般の生命保険と異なり、告知事項さえなければ、必ず加入することができます。

そのため、生命保険にこれ以上は入れないと保険会社から言われた人も住宅ローンの額に相当する保険に団体信用生命保険という形で加入することができます。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

京都府出身。大学卒業後、新卒で上場IT商社に入社。 法人向けのITコンサルタントとして業務の効率化、WEBを活用した集客・営業コンサルティングを実施。 その後国内コンサルティングファームにて不動産業専門のコンサルティングに従事。役職はチームリーダー、全国のクライアントの経営顧問をしている。 専門分野は仕事上、不動産・新築住宅・WEB・IT分野などなど。 読書・資格取得・ITツールやアプリ導入などが趣味