不動産を売る時の手数料の仕組みと実態・注意すべき点について




 

不動産を売るにあたりプロの業者に仲介をお願いすると、一定の手数料の支払いが必要になります。

 

かつて不動産業界がまだダークで薄暗い印象があった頃は、手数料についても悪質な業者が法外な請求をするケース稀にありました。

現在では法規制が加えられルールも明確になりかなり改善されていますが、手数料については少し分かりづらいところもあります。

この章では不動産業者に支払う手数料の仕組みや業界内の実態、注意すべき点などについて解説していきます。

 

■手数料の性質と支払い時期

 

不動産業者との仲介契約における手数料の性質は、単なる事務手数料ではなく「成功報酬」という位置づけになっています。

売却仲介における成功とは、業者が買い手を見つけて売り主と買い主の間で売買契約が成立することを指します。

この時点で、不動産業者には手数料報酬を請求できる権利が発生することになります。

 

従って原則論で言えば、売買契約成立をもって手数料の全額を売り主に請求できるわけですが、不動産取引には契約後に物件引き渡しなどの実務がまだ残っています。

そのため売買契約成立時に手数料の半額を、残りを物件引き渡し時に清算するなど分割払いにすることが多いようです。

ただしこれも一般論であって、個別のケースで特定時期に一括で支払う、あるいは分割回数を増やして支払いをしやすくするなどの交渉は可能です。

 

新人の営業マンは契約書のひな型に書いてある条文は変えられないと思い込んでいることもありますが、実際は話し合いで決めて条項を変えることもあるので、顧客から相談があった時には「決まりですので」と突っぱねずに上司に相談して対処してくださいね。

 

■手数料の計算方法

 

民事法の大原則である契約自由の原則から手数料の額は当事者同士で自由に決められるはずですが、不動産取引の手数料については法外な請求がなされないよう、法律で上限額が規定されています。

多くのケースではこの上限いっぱいの請求をされるので、上限額を計算できるようにしておけばOKです。

基本的に、売上金額が大きくなるほどに手数料額も大きくなるようになっています。

 

ただ計算ルールは少し分かりづらくなっています。

買い手が支払う代金を三段階にわけて、それぞれに対応する率を掛け、各段階の手数料額を算出し、それらを合算する手順を踏みます。

 

売上金の3段階 対応する率の上限(税抜)
a 売上金のうち200万円以下の部分 5%
b 売上金のうち200万円超400万円以下の部分 4%
c 売上金のうち400万円を超える部分 3%

 

例えばある不動産を1500万円で売却したとします。

aの部分は200万円×5%=10万円
bの部分は200万円×4%=8万円
cの部分は1100万円×3%=33万円です。

 

これらを合計して51万円に消費税を加えた額が業者に支払う手数料の上限になります。

もし400万円を超えるケースでは簡易計算も可能で、「売却金額×3%+6万円」に税を加えた額として計算が可能です。

どんなケースでも対応できるように原則の計算方法もできるようにしておきましょう。

 

■値引き交渉はできるか?

 

手数料は数十万円からケースによっては数百万円レベルの金額になるので、負担は結構なものになります。

できれば少し値引きしてもらえないかな、と思うこともあるでしょう。

法律上は上で述べたように上限が規制されているだけですから、その範囲であれば値下げするかどうかは業者側の自由です。

従って値下げ交渉をかけることは法律上は何ら問題ありません。

ただし、一般的には値引き交渉はおススメできないのです。

 

何故かというと、不動産業者にとっては手数料で生計を立てているようなものなので、簡単には値下げはできません。

無理にお願いして少しは値引きしてもらったにしても、業者側のやる気の問題に直結します。

無理に値下げを要求されて「この人のために買い主を見つけてあげたい」と思えるでしょうか?

間違いなくモチベーションが下がり、「より早く、より高く売る」という希望が叶えられなくなってしまう恐れが出てきます。

もしかしたら、他の報酬の良い案件に注力してあなたの案件が疎かにされてしまうかもしれません。

 

特に、特定の期日までに売りたい事情がある場合は大きな支障が出ますし、そうでなくとも長期間売れない物件は市場から怖がられて余計に買われなくなってしまうので、そのリスクも背負うことになります。

従って、売却成功を優先するならば基本的には手数料の値引き交渉はしない方が安全とされています。

 

■業界内の実態はどうか?

 

では実際はどうかというと、「両手仲介」のケースでは手数料の値引きができることもあります。

両手仲介は同一の不動産業者が売り手と買い手両方の仲介をすることになるので、手数料が二倍手に入るので業者にとっては万々歳です。

余裕があるので、ライバル他社よりも自社に顧客を呼び込むために手数料の値下げをうたって宣伝している業者もいます。

こういうケースでは売り主からもう少しの交渉ができる可能性もあるので、会話で探りを入れてみるのもいいと思います。

 

ただし、仲介をお願いするのが大手の不動産業者の場合は別です。

大手業者は顧客を多く抱えているので両手仲介になることも多いですが、担当者個人のノルマの他に企業のプライドも手伝って、値引き要求には厳しく対応されることが多いです。

「値引きってできるものでしょうか?」と下から目線で聞いただけで、いきなり雰囲気が悪くなってしまったということも見聞きします。

大手とお付き合いする時は最初から値引きのことは頭から外しておくようにしましょう。

 

■まとめ

 

この章では不動産を売る時に仲介業者に支払う手数料について見てきました。

 

手数料は成功報酬ですから、買い手が見つからなければ支払う必要がありません。

法定上限額を請求されることが多いので、これを自分で計算できるようにしておけば、事前に手元に残る資金額の予想もしやすくなります。

 

半年後に1000万円必要だなどの事情があれば、売上金から手数料を引いて残る額を計算することで計画が立てやすくなります。

不動産業者の担当営業マンも、顧客から相談された時には手数料の仕組みについて丁寧に説明してあげられるようにしましょうね。

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2019年5月25日




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京都府出身。大学卒業後、新卒で上場IT商社に入社。 法人向けのITコンサルタントとして業務の効率化、WEBを活用した集客・営業コンサルティングを実施。 その後国内コンサルティングファームにて不動産業専門のコンサルティングに従事。役職はチームリーダー、全国のクライアントの経営顧問をしている。 専門分野は仕事上、不動産・新築住宅・WEB・IT分野などなど。 読書・資格取得・ITツールやアプリ導入などが趣味