マイホームの譲渡で利用できる3000万円の特別控除とは?




 

我が国の税制は諸外国に比べても複雑で分かりにくいという指摘があります。

税胆力の公平性などを追及するとどうしてもルールが細かくなってしまうためですが、原則論の他に「特例」が多く存在することも一因になっています。

 

しかし特例は国民の負担を下げることを狙って創設されるものですから、上手に活用したいものでもあります。

税務署は税収入が下がる制度を懇切丁寧に解説してくれるようなことはありませんから、自ら学んで自分のものにするしかありません。

この章では不動産の譲渡にかかる不動産譲渡所得税に関して、非常に重要な特例の一つを解説します。

 

■3000万円の特別控除の概要

 

一定の居住用不動産を譲渡した時に、不動産譲渡所得税の計算において譲渡所得金額から特別に3000万円を控除して計算することができるのが本特例です。

別章で解説した不動産譲渡所得税の計算式を確認してみましょう。

 

不動産譲渡所得税額=不動産譲渡所得×税率

 

これが全体の計算式ですが、「不動産譲渡所得」は売上代金から取得費と譲渡費用という二つの経費を差し引くことができましたね。

 

今回のテーマである特別控除を利用できれば、そこからさらに3000万円を控除して計算できるので、課税対象の数字をかなり小さくでき、算出される税額を大きく圧縮することができます。

計算の結果税額が0であれば税負担が生じないことになり、納税は不要になります。

ただし税額が0でも特例を利用する場合は税務署に対して申告手続き自体はしなければなりませんので注意が必要です。

 

■計算の仕方は?

 

実際の計算例を見てみましょう。

 

不動産Aにかかる売買取引において、買い手から頂く売却代金が5000万円、取得費と譲渡費用をあわせて500万円、税率は29%とします。

経費を差し引いた譲渡所得は4500万円ですが、特例が適用できればさらに3000万円を控除できるので、4500万円-3000万円=1500万円にまで圧縮できます。

ここに税率をかけると、

1500万円×29%=435万円となります。

 

もし特例を利用しなければ、

4500万円×29%=1305万円

ですから差額870万円も損をしてしまいます。

とてもお得な制度ですので、利用できるケースであれば絶対に見落とさないようにしなければなりません。

 

■適用要件は?

 

この特別控除は特例ですからどんなケースでも利用できるわけではありません。

主な適用要件を確認してみましょう。

 

①自分が住んでいる家屋もしくは家屋と共にその敷地や借地権を譲渡すること。現在住んでいない物件である場合は住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

②譲渡の年の前年及び前々年に本特例または譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

③譲渡した年とその前年、及び前々年にマイホームの買い替え特例等の適用を受けていないこと。

④譲渡した不動産について収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

⑤災害によって家屋が滅失している場合の土地の譲渡については、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。

⑥譲渡の相手が親子や夫婦など特別な関係にあるものではないこと。

 

以上が主な要件になりますが、他に適用除外ルールとして別荘などは対象外になることと、特例を受けることだけを目的として入居したようなケース、一時的な仮住まいとして入居したケースでは本特例を利用できないことになっています。

 

個別のケースで特例を利用できるかについては、ヘタに税務署に相談してしまうと揚げ足を取られてしまうリスクもあるので、まずは不動産に詳しいコンサルタントなどの専門家に相談するようにしてください。

 

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京都府出身。大学卒業後、新卒で上場IT商社に入社。 法人向けのITコンサルタントとして業務の効率化、WEBを活用した集客・営業コンサルティングを実施。 その後国内コンサルティングファームにて不動産業専門のコンサルティングに従事。役職はチームリーダー、全国のクライアントの経営顧問をしている。 専門分野は仕事上、不動産・新築住宅・WEB・IT分野などなど。 読書・資格取得・ITツールやアプリ導入などが趣味