売却と賃貸どっちが良い?空き家不動産の使い道~メリット・デメリット比較、抑えるべきリスクと注意点~




 

一般に不動産は高価値の財産とされており、不動産を持っているということはプラスに捉える人が多いと思います。

ところが昨今は色々な理由で不動産を持て余してしまったり、上手に利活用できずに逆に負担となってしまう例も多くなってきました。

人によって理由は様々ですが、例えば相続で遠方の実家を承継したけれどどうしたらいいか、あるいは仕事で長期転勤が決まったので今のマンションが使えなくなるなどの実例は多いですね。

使わない不動産は売却してお金に換えることもできますが、賃貸に出してみるという道もあります。

どちらがいいか悩みどころですが、今回は中長期で使わなくなった不動産について、売却と賃貸双方のメリットやデメリットを比較し、リスクや注意点を確認していきます。

 

■売却のメリットは何か?

 

中長期で使わない不動産を売却する場合は以下のようなメリットが考えられます。

 

①一括でまとまった資金化が可能

特殊なケースでない限り、不動産は売ることで多額の現金を得ることができます。

特に何らかの理由で資金需要がある場合、期間的な余裕をもって売却に臨めば期日までに必要な資金を確保することができます。

離婚事案の財産分割などで多くの現金が必要なケースでは不動産は役に立つでしょう。

 

②維持費やメンテナンスから解放される

不動産の厄介なところは、保有しているだけでも維持費がかかり、その額も小さくないところでしょう。

固定資産税などの税金だけでなく、メンテナンスにかかる費用、遠方であればそこまで通うための交通費もばかになりません。

かといってメンテナンスを怠ると、不動産は途端に朽ちるスピードが速まります。

特に家屋はあっという間に朽ち果ててしまうので、こまめなメンテナンスは欠かせません。

これを怠ると老築化した物件から生じた倒壊などの危険について、所有者が責任を取らされてしまいます。

土地についても不法侵入者によるいたずらや不法投棄などの被害が生じるので、適切な管理が必要です。

 

売却してしまえばこれらメンテナンスは買い主の責任になるので、維持費の支払いやメンテナンスの労力は不要になります。

 

③経営管理や賃借人の付き合が要らない

賃貸に出すことはつまり賃貸経営を営むということですから、適切な経営管理が求められます。

また賃借人との関係も生じるので、法律上一定の責任が生じる他、日常の付き合いも必要になります。

管理業者を使えば一定の距離を置くことができますが費用がかかりますし、法律上の責任からは完全には解放されません。

売却ではこうした心配は一切不要です。

 

④税務上の優遇策が多い

居住用財産の売却においては、税制上で色々な優遇施策が用意されています。

例えば不動産譲渡所得税における居住用不動産の3000万円の特別控除は大きな減税効果があり、控除枠内の売却益であれば税負担を実質なくしてしまうことができるので、売却代金を税金に取られる心配をせずに進めることができます。

他にも買い換え事案では譲渡所得税の課税が繰り延べられる居住用不動産の買い替え特例、売却損を他の所得と通算して税金を浮かせる損益通算、損益通算を数年間繰り越せる繰越控除などの制度があります。

不動産の扱いが上手いセンスがある人は、こうしたシステムを有効に活用して利益を最大化できるので、不動産に関する知識をできるだけ仕入れて活用したいものです。

 

■売却することのデメリット

不動産を売却することのデメリットは以下が考えられます。

 

①買い戻しができない

イレギュラーなケースを除いて、市場で売ってしまった不動産は再び買い戻すことができません。

買い手が付いたということはその買い手も何らかの目的の為に購入したわけですから、「やっぱり自分で使うので返してください」というわけにはいきません。

仮に買い戻しに応じてくれたとしても当然高い代金の支払いが必要になりますし、登記費用などの経費もかかります。

中長期の転勤のケースなどでは転勤から戻ってくることができる可能性と、その時期を精査して売却するかどうかの判断が必要になります。

 

②将来の値上がり益の喪失

経済的な側面から見ると、土地に関しては将来的に値上がりする可能性がある場合はその値上がり益を喪失するということになります。

家屋の場合は基本的に値べりしていく一方なので値上がり益を心配する必要はありませんが、土地に関してはその土地周辺の開発計画などをよく調べてみて、値上がりの可能性がありそうであれば売却を控える選択の方が有利になるかもしれません。

 

③税務処理が必要

不動産を売って売却益が出た時は不動産譲渡所得税の申告納税手続きが必要になります。

特例を利用すれば税負担を大きく減らしたり、実質の負担を0にすることも可能です。

ただし税負担が0になる場合でも、特例を利用するには申告の手続きだけは必要になります。

 

④心理的な喪失感

相続で承継した実家などは自身はもちろん両親との思い出が沢山詰まっていることでしょう。

売れてしまった後は好きなようにリフォームされたり、ケースによっては解体して土地の利用がなされることもあります。

先祖代々住んできた土地の場合は人手に渡ることに抵抗を覚えることも多いでしょう。

 

■賃貸のメリットは何か?

では次に、中長期で使わなくなった不動産を賃貸に出すことのメリットを見てみます。

 

①安定したインカムゲインを得られる

優良な借り手がつけば、そこから家賃収入を得ることができます。

安定したインカムゲインは生活を助ける副収入となりますから、生活レベルを少し上げて余裕のある暮らしを実現できます。

昨今は一部の芸能人なども積極的に不動産経営に乗り出しています。

先行きの不透明感が強い職業の人ほど、安定したインカムゲインは生活の強い味方になります。

 

②賃貸経営のノウハウを得られる

家賃収入を安定させるには一定の知識と経験が必要ですが、知識はセミナーや勉強会を利用できるものの、実務経験は実際にやってみないと経験値として身につきません。

実際の賃貸経営とはどういうものか、実務を体で覚える良いチャンスになるかもしれません。

もし実際にやってみて、実務が苦でない、自分にセンスがあるなと思えば管理物件を増やして攻めの経営に転じることもできます。

 

③将来の利活用の構想ができる

完全に所有権を手放してしまう売却と違って、賃貸であれば将来的に自分で利活用することが可能です。

転勤のようなケースではまた戻ってくる可能性を考えて、その間だけ賃貸に出すことは有効です。

空き物件のままにしておいても固定資産税など管理費用がかかるだけですし、人が住まない家屋は朽ちるのが早くなりますから、人に住んでもらい管理してもらうだけでも利があると考えることもできます。

 

④値上がり益を得られる可能性

土地あるいは土地付き物件の場合、将来の値上がり益を狙うこともできます。

値上がり前までは人に貸して賃料を得ることで、ダブルの利益を得ることも可能です。

値上がり益を期待する場合は地域の不動産市場に詳しいコンサルタントなどを活用して、情報収集をすると良いでしょう。

不動産経営方面にも対応するコンサルタントであれば、賃貸経営面でも大きな支えになってくれるはずです。

 

■賃貸で考えられるデメリット

 

では賃貸に出すことのデメリットを見てみます。

 

①空室リスクがある

賃貸経営は常に空室リスクとの戦いです。

借り手が付かないとリソースが無駄になってしまうので、質の良い賃借人を安定して確保することが至上命題になります。

最近は都市部でも空き家が目立ってきていますが、これには少子化も大きく影響しています。

知識や経験、ノウハウが無いと空室リスクへの対処は難しいので、自分でも時間と労力をかけて勉強する姿勢が求められます。

空室リスクはその物件が存するエリアや戸建てかマンションかなどの不動産の種類にも大きく影響されます。

特に中古の戸建ては借り手を探すのが難しいので、安定した入居者の確保に難を見ることがあります。

 

②中長期での経営の見立てが難しい

賃貸経営は利回りなどを考えて中長期的な目線で見ることができなければ堅実経営は難しいのが実情です。

まずは一回挑戦してみるくらいのスタンスであればいいのですが、空室リスクが顕在化し管理費用の負担が強まると費用の持ち出が必要になるなど、逆に生活を圧迫する要因にもなりかねません。

大家業を営む仲間どうして参加する勉強会に参加したり、コンサルタントを上手く活用するなどしてリスクに対処する必要があるでしょう。

 

③維持管理が必要

賃貸経営では物件管理と賃借人の管理の二つの管理が必要です。

物件管理は必要な修繕やメンテナンスだけでなく固定資産税など税金の処理も含まれます。

賃借人の管理は入退去の管理や敷金礼金、家賃の支払い管理、入居者からのクレームへの対応などです。

物件が一つだけであればクレーム対応などもそう頻繁な手間はかからないでしょうが、賃貸人としての法的な責任が生じますから、この点も心理的な負担になります。

 

④管理業者の手数料がかかる

物件管理や入居者募集の手配、賃借人の管理などは不動産の管理業者に実務を委託することができます。

実務面で負担が大きく軽減されますが手数料がかかります。

また優良な業者を選ばないと不利益を被ることもあるので、業者選びも慎重にしなければなりません。

 

■まとめ

この回では中長期で使わなくなった不動産の扱いについて、売却と賃貸双方のメリットやデメリットを見てみました。

売却は楽に現金化が可能で維持管理の手間も要りませんが、二度と自分の元には戻らないので将来的な再利用は不可能になります。

知識やノウハウがあれば安定したインカムゲインを得られる賃貸は大変魅力的ですが、維持管理に手間がかかりますし、それなりの経験も必要です。

 

ただ、その貴重な経験を得られるというメリットは大きいので、生活に支障が出ない範囲で一度試しに大家業に挑戦してみることには大きな意義があります。

もしかしたら自分でも気づいていないポテンシャルが開花するかもしれませんよ。




ABOUTこの記事をかいた人

京都府出身。大学卒業後、新卒で上場IT商社に入社。 法人向けのITコンサルタントとして業務の効率化、WEBを活用した集客・営業コンサルティングを実施。 その後国内コンサルティングファームにて不動産業専門のコンサルティングに従事。役職はチームリーダー、全国のクライアントの経営顧問をしている。 専門分野は仕事上、不動産・新築住宅・WEB・IT分野などなど。 読書・資格取得・ITツールやアプリ導入などが趣味